日本人の美意識|茶の本 [ 読んだ本・観た映画]
先月のNHK番組「100分de名著」で取り上げられた岡倉天心の「茶の本」を読んでみました。
「茶の本」というタイトルですが、お茶の詳細ではなく日本文化論のような内容です。
100分de名著のサイト(→★)に
「茶の本」を現代に読む意味は、「近代化の中で表面的には忘れ去ってしまっているが、無意識のうちに我々を規定している日本文化の基層に触れることができる」こと
とありますが、確かに今の日本人の感覚は、天心の時代の日本人とはちょっと違うかもしれません。
例えば美意識について、かつての日本人は左右対称や反復を避けて来たそうです。
なぜなら、
真の美は、不完全を心の中で完全なものにする人だけが発見することができる。
つまり人々には想像力が求められ、それを阻害するような左右対称や反復は嫌われていたとか。
最近の日本のインテリアコーディネートに左右対称や反復が多いことを天心さんが知ったら、悲しむかも...
それでも、欧米のインテリアのように空間を全部埋め尽くすと息苦しさを感じるのは「無意識のうちにわれわれを規定している日本文化の基層」の影響かもしれません。
なお、この本のオリジナルは1906年に英文で出版されています。
(色々な人が日本語に訳しており、今回読んだのはその1つ。)
ちなみに、1900年には新渡戸稲造の「武士道」が出版されています。(こちらも英文)
文中には「武士道」に反発するような記述もあり、その指摘はなかなか奥深いです。
ただ、その部分がある第1章はちょっと(日本語の)文章が難しくて。
無謀にも英文を読んだ方が分かるかも?と思ってしまいました。(英語は苦手ですが)
この本にも英文が載っていますが、Kindle for PCの日本語版も出たことだし
と、Amazonで無料になっていたKindle英語版をダウンロード。
(無料のKindle日本語版もあります。)
電子書籍は辞書が簡単に引けて良いですね。
私の場合、じっくり読むにはやはり紙ですが。
しかし、茶道の根底が禅と道教だとは。
もう一度、老子の本を読まなくては。
なるほどー。空間の美ってのもありますし、日本の文化っていろいろ奥深いというか、西洋にはない部分が多いですよね。
by ChatBleu (2015-02-15 21:39)
社長が応接室のディスプレイを「田舎臭くなるから
左右対称に並べるな」って怒ってました。
こういうことなんだって感じです。キンドル版で
無料があるなら読んでみようかなって思いました。
空間としての「間」、でいいのかなと^^;
by みずき (2015-02-15 23:26)
> ChatBleuさん
「西洋にはない部分」というのが、昔は西洋人に馬鹿にされ
今では一部の西洋人を魅了しているのでしょう。
今では日本人自身が忘れかけているのはモッタイナイのかも。
by ゆう (2015-02-16 00:08)
> みずきさん
おぉ、粋な感性の社長さんですね。
相手のための「間」だとしたら、みな美意識が高いのが前提になります。
幕末だったか、西洋人が日本の庶民の美意識の高さに驚いたと聞いたことがあったような。
キンドルは古典が無料のことが多いので、図書館より便利かも。
by ゆう (2015-02-16 00:17)
おおー、読んでみたい!名前だけ知っていて
手が出ていない本の一つでした。英語版!
探してみようっと。
私も、左右対称とか侘びさびとか、西洋と日本、いや、同じアジアでも日本と他の国の美意識の違いってすごく面白いと思っていました。(日本贔屓ぎみに)西洋人は、バランスが取れていないと不安になるみたい。わざと不均衡にしたり余白を開けたりしたくなる私は、やっぱり日本人なんだなあー。何だか嬉しくなりました。
by しぷ (2015-02-17 02:44)
>しぷさん
バランスが取れていないと不安になるみたいだという観察
面白いですね~
西洋人は人間を自然より上、日本人は自然が人間より上と
考えている点も美意識の違いとなるそうです。
自然には左右対称や繰り返しは少ないですからね。
(実際はフラクタルなどがあるんですが)
人工的なデザインにしないと西洋人は自然に制圧されるようで
不安になるのかしら?
by ゆう (2015-02-21 00:14)